日本で働く
日本での就職
日本の雇用環境
新卒採用市場
日本では、大学や専門学校を卒業して初めて働く人たちの市場を、新卒採用市場といいます。【図1】は、過去10年間の日本人の大学等の卒業者の就職率の推移を表したデータになります。日本の雇用は安定しており、過去10年間9割を下回ったことがなく、安定した雇用環境となります。2019年は97.8%と、ほぼ100%に近い学生が卒業後に企業に就職しています。
【図1】 過去10年間の日本人大学等卒業者の平均就職率推移
厚生労働省 大学等卒業者及び高校卒業者の就職状況調査
初任給
初任給とは、大学学部や大学院を卒業した後、はじめにもらう企業からの月額の給与のことです。【図2】は、日本での初任給の平均値です。大学学部卒で約21万円、大学院卒(修士卒)は約23万円が平均的な初任給となります。事務系は文系の職種、技術系は理系の職種です。
【図2】 学歴別の新卒初任給の平均
区分 | 大学卒 | 大学院卒 | ||
---|---|---|---|---|
事務系 | 技術系 | 事務系 | 技術系 | |
初任給支給額(円) | 211,094 | 233,806 | 215,365 | 239,965 |
人事院「職種別民間給与実態調査結果」(2023年)
年齢別の平均給与
【図3】は、年齢別の平均年間給与についてのグラフになります。それぞれ年代別に年間どれくらいの給与をもらえるかの平均値が記載されています。男性の年収は、55歳から59歳が702万円とピークとなり、それ以降は少しずつ下がっていきます。女性は、25歳から29歳以降、横ばいになっていますが、これは結婚や出産などによりフルタイムでの勤務ではなく、時間を制限して働く人が増えているからです。
【図3】民間企業の年齢別平均給与
国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」
外国人留学生の就職状況
外国人留学生の就職者数
2019年5月1日現在で日本の留学生数は約31万人となっており、10年前と比較すると2倍以上に増加しています。
一方で、過去10年間の日本で就職をしている外国人留学生数は、2011年の8,584人から2022年は33,415人と就職者数は約3.9倍に増加しています。しかし、日本での就職は日本人学生の就職率ほどは高くなく、簡単ではありません。
【図4】外国人留学生の卒業者数・就業者数
法務省入国管理局「令和4年における留学生等の日本企業等への就職状況について」
留学生の就職先規模
留学生が、どれくらいの規模の企業に就職しているかについては、従業員が2,000人以上の規模の会社に就職している学生は10.1%。多くの学生が、従業員が50人未満の企業規模に就職しているのが分かります。
日本の中小企業は、大企業の下請けの役割を果たすだけではありません。世界ナンバーワンの技術やトップシェアを持っている優良企業が多数あります。会社の規模だけでなく、企業の事業内容を研究することで就職の幅を広げることができます。また、日本では大企業と中小企業で初任給の額は20万円程度とほぼ変わりがありません。
【図5】就職先の従業員規模
法務省入国管理局「令和4年における留学生等の日本企業等への就職状況について」
留学生の就職先の業種
就職先の業種については、ものを作る企業(製造業)に就職している学生が約15%、ものを作らない企業(非製造業)に就職している学生が約85%を占めています。
一番多いのは卸売・小売業で、二番目が学術研究、専門・技術サービス業、三番目が情報通信業、四番目が宿泊業という順番になっています。
【図6】就職先の業種
業種 | 割合 |
---|---|
金属製品 | 2.7% |
食料品 | 2.0% |
電気機械器具 | 1.9% |
輸送用機械器具 | 1.4% |
プラスチック製品 | 1.3% |
生産用機械器具 | 1.0% |
繊維工業 | 0.5% |
その他製造業 | 4.4% |
製造業 | 15.2% |
業種 | 割合 |
---|---|
卸売・小売業 | 19.3% |
学術研究、専門・技術サービス業 | 8.4% |
情報通信業 | 7.8% |
宿泊業 | 6.5% |
職業紹介・労働者派遣業 | 6.4% |
医療・福祉業 | 5.7% |
飲食サービス業 | 5.7% |
教育 | 4.1% |
建設業 | 3.1% |
不動産・物品賃貸業 | 2.9% |
運輸・信書便事業 | 1.5% |
金融・保険業 | 0.7% |
その他非製造業 | 12.5% |
非製造業 | 84.4% |
法務省入国管理局「令和4年における留学生等の日本企業等への就職状況について」
(日本学生支援機構 客員研究員 久保田 学 監修)
<参考>